ビートルズってロシア人? Episode 1
僕が「よし、ビートルズを聞こう」と意識して聞いた最初のナンバーはCome Togetherだった。なぜCome Togetherだったのか?別に特別な理由があったわけではなく、友人が我が家に持って来たそのアルバムが『Abbey Road』であった。そして、そのA面1曲目がそれであった、ただそれだけに過ぎない。
「これがビートルズだ!」
得意満面のその友人の鼻の穴は大きく膨らんでいた。
しかし、
シュッ ボンボンボボボーン タタタタタタタタタタ(タの数は合ってるかな?)
というあのくらーいイントロを聞いたときには、自分が予想していたビートルズサウンドとはかけ離れていて、正直かなり戸惑った。そして僕は、その戸惑いをそのまま彼にぶつけてみた。
「これってホントにビートルズ?」
彼は、カセットテープのケースを眺めながらしばし考え込んでいた。そしてつぶやいた。
「間違ったかも知れない。」
何のことはない、彼もよく知らなかったのだ。かわいそうに、彼の鼻の穴は元の大きさに力なくしぼんでいた
ところで、なぜ僕が生意気にも「これがビートルズサウンドだ」というイメージを、彼の鼻の穴をパフパフいわせる前から持ち得たのか。僕が「ビートルズ」という存在を知ったのはいつだったか、実は自分でもさっぱり覚えていない。
ただ、ある日ある場所で「ビートルズ」という言葉を聞いたときに、「あっ、その名前知ってるー」と思ったことだけは鮮明に覚えている。つまり、当然それよりも前に、何らかの形で「ビートルズ」ということばを耳にしていたわけだ。
その「ある日」というのは、中学1年生の1学期、確か5月であったと記憶している。
当時僕の中学では、新入生にはフォークダンスの猛特訓が課されていた。何のためのフォークダンスだったのか、途方もない歳月が経過した今となってはその理由は永久(とわ)の謎と化したが、とにかく僕たちは、3~4曲のレパートリーを難なくこなす、結構『いけてるダンサー』であった。
そして、入学から1ヶ月ちょっと経過したある日、ついにその猛特訓の成果をお披露目する機会が僕たちに訪れることとなる。一泊二日の「健康教室」。場所は、富士山のふもとの「富士サファリパーク」に程近い「丸火少年自然の家」。
もっとも、「お披露目」とは名ばかりで、別に聴衆がいるわけでもなく、要はステージが、体育館からその丸火なんとかに移っただけのことである。
ところでみなさんは、フォークダンスと聞いてどの曲を真っ先に思い浮かべるであろうか。まぁ、「マイムマイム」や「オクラホマミキサー」あたりが常識的な線か。しかし世の中、いつでも常識が通用するとは限らない。
僕たちはとにかく『いけてるダンサー』である。マイムやオクラホマなど、へそで茶を沸かし、「粗茶ですが召し上がれ」てなものである。フォークダンスと問われたら、「あの名曲」を即答するようでなければ、あなた方のフォークダンスキャリアなどたかが知れている。
では、「あの名曲」とは何か。それはまたのお話。
