遠くの山を見つめる
2000年、オリックスのイチローは、.387という日本野球史に残る高打率を記録しました。
ちなみに、歴代一位は1986年のバースの.389。
実は、イチローは2試合を残した時点で、バースの打率を上回っていました。
多くの人が、「このまま欠場して、歴代最高打率を残せばいい」と考えていました。
それも当然で、2000年のイチローの2試合を残した時点での安打数は彼にしては少ない153安打。
すでに、210本の日本最高安打記録は持っているのだから、この際、安打数などどうでもいい。
打率でも日本最高記録を作ってしまえばいい。
誰もがそう思いました。
ところが、イチローは欠場することなくバッターボックスに立ち続けたのです。
結果は、2試合無安打。
最終打率はバースを下回りました。
当時のイチローのコメント。
「最高打率に興味はなかった。
1回でも多く打席に立ちたかった。
1本でも多くヒットを打ちたかった」
これには、多くの人が首を傾げました。
しかし、その直後、イチローのマリナーズへの電撃移籍が決定し、私たちは彼のコメントの意味を理解させられることになります。
要するに、すでに、イチローの頭の中にはメジャーリーグしかなかったのです。
そして、メジャーで通用する打者になるためには、欠場するよりも、1試合でも多く試合に出て、1本でも多くヒットを打つことのほうが肝要だと彼は考えていたのです。
イチローが見つめていたのは、
「メジャーリーグ最強の一番打者」
という大きな目標でした。
さて、これは、私の個人的な意見ですが、目標は大きければいい、というものではないと思います。
最近は、どんな大きな目標も叶う、ということを訴える本も少なくありませんが、本当にそうでしょうか?
では、なぜ、私は、巨人に入団して王貞治のホームラン記録を塗り替えられなかったのでしょうか?
子どものときは、本気で、この「目標」を持っていました。
理由は簡単です。
子どもの私が掲げたのは「目標」ではなく「夢」だからです。
目標は、その大きさではありません。
その色の濃さで、実現できるかどうかが決まると思います。
大切なことは、大目標を掲げ、それを実現するための中目標、さらには小目標を掲げる。
言い換えれば、長期目標を掲げ、それを実現するための中期目標、さらには短期目標を掲げる。
すなわち、人生は割り算なのです。
そして、大目標たる長期目標を常にイメージする。
私のような弱い人間は、正直、中期や短期の目標は実現できないことも少なくありません。
また、目移りしてしまうこともあります。
でも、そうした寄り道をしてもいいのだと思っています。
大切なことは、遠くに大目標を置いておけば、たとえその道筋はくねっていても、やがては必ずそこにたどり着けるということです。
イチローは確かに、歴代一位の打率は残せませんでした。
しかし、遠くに見える山に近付くために、試合を欠場することなくバッターボックスに立った。
私は、無安打に終わったこの2試合が、翌年のイチローのメジャーリーグでの大活躍、首位打者と盗塁王、そして新人王と無関係とは思えないのです。
高い山を見つめて、その方向に歩いて行けば、途中で道に迷うことはありません。
少々の試練があっても、失敗があっても、いつかは必ずたどり着けます。
私は、人生もこれと同じだと思っています。
そして、このことに気付いていれば・・・
- 私たちの人生は負けないようにできています! -
