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「篤」が「あつし」に変わるまで(9)

< 第1話 からお読みください >

主要登場人物・団体

●僕・・・この物語の主人公。わたくし、大村あつしのこと。
●福島一郎・・・品川出版(株)の社長。実在する人物だが仮名。
●品川出版(株)・・・在京の出版社。実在する会社だが仮名。

Episode 9

- 未完成の原稿 -

「企画書はいいから、とりあえず30ページぐらい書いたら連絡頂戴よ」

福島社長にそう言われた僕は、ものの5日間で30ページを書き上げてしまった。

「これから書く30ページは、いわば本当に本を出版してもらえるかどうかのテストだ。時間をたっぷりかけて、構成をしっかり練って、一字の誤字もない最高の原稿を書こう」

そうつぶやくもう1人の自分もいたが、元来せっかちな本物の自分を制止することはできなかった。

気を付けたのは、「一番訴求力のあるパートを書く」。
ただそれだけ。
そして、販売管理の最重要パートである「売上入力」について書き始めたが、全体の半分も書かないうちに30ページに達してしまった。

この手のソフトを開発した経験者であればご存知かもしれないが、売上入力は本当に奥の深い処理モジュールである。
売上がたてば、財務的には売掛金が発生するし、売り上げた個数分、在庫の出庫処理もバックグラウンドで行わなければならない。
フロントとしては、納品請求書や送り状、郵便振替用紙の印字も同時で行う必要がある。
そもそも、これだけの処理をExcel/VBAで実現するための解説を30ページでやってしまおう、と考えた自分が甘かった。

さて、これは困った。

こんな中途時半端な原稿を渡していいものか・・・。

⇒ 第10話へ



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