「篤」が「あつし」に変わるまで(14)
主要登場人物・団体
●僕・・・この物語の主人公。わたくし、大村あつしのこと。
●福島一郎・・・品川出版(株)の社長。実在する人物だが仮名。
●品川出版(株)・・・在京の出版社。実在する会社だが仮名。
Episode 14
- ついに完成! -
友達には、
「来年早々には俺の本が出るから買ってよ。サインするからさぁ~」
なんて戯言を言いふらす始末。
「お前、騙されてるんじゃないの?」
「本が出るって・・・、自費出版でしょ?」
友達は、誰一人としてまともに取り合おうとしなかったが、とにもかくにも原稿は完成したのだ。
今に見ていろ。
後は、この原稿を福島社長が本にしてくれるのさ。
時は、世間がWindows95ブーム一色に染まっていた95年11月の終わり。
原稿が完成したことを嬉々として僕から伝えられた福島社長は、受話器の向こうでこう答えた。
「あ、そう。それなら・・・、年内に少し動いてみようかな。」
ん?
微妙にではあるが、どこか迷惑そうな受け答えだな・・・
一瞬そう感じたが、「今、きっとお忙しいのだろう」。
頭をもたげかけた釈然としない気持ちも、そう解釈することですぐに吹き飛んでしまった。
「では、その原稿を送ってください。それから、これから少し動きますので、まず30万円を弊社の指定口座に振りこんで頂けますか」
「え! 30万円!?」
