「篤」が「あつし」に変わるまで(17)
主要登場人物・団体
●僕・・・この物語の主人公。わたくし、大村あつしのこと。
●福島一郎・・・品川出版(株)の社長。実在する人物だが仮名。
●品川出版(株)・・・在京の出版社。実在する会社だが仮名。
Episode 17
- 品川出版の謎 -
ところが、その30ページが未完成パートであることを知った福島社長は、興味のない仕事を先延ばしにする、格好の理由を手に入れたというわけだ。
そして、なるだけ長期間、僕からの連絡という面倒な束縛から逃れるために、
「一層のこと、本全体を完成させてよ」
「時間をかけてもいいから、じっくりといいものを書いてよ」
「いや、もうテストはパスしたと思ってください。本が完成すれば、それで合格!」
なんて、調子のいいことを言ったのだ。
いや、そう言えば、僕が執筆をあきらめるかもしれない。
そんな期待も秘められていたに違いない。
しかし僕はあきらめなかった。
そのことばを間に受けて、執筆を続けた僕のことを、福島社長は、さぞ「何とも無知な男」「何とも勘の鈍い男」と恨めしがったに違いない。
ただ、いずれにせよ原稿は完成してしまったわけだ。
こうなると、福島社長は、嫌でも「動かざるを得ない」。
そう、その日を境に、30万円という依頼費を前払いで受け取った福島社長の出版社めぐりが始まることとなったわけだ。
そこまでの事情をすべて飲み込んだ僕は、「武士に二言はない」ではないが「本を出版する」と言った福島社長のことばと、30万円という大金を前渡した事実だけを胸に、一転、神にもすがる気持ちで彼からの報告を待つ日々を送ることになる。
さて、物語りはいよいよ第二幕にさしかかる。
今、静かに、しかし、力強く、人から人へと伝えられている作品 掌に乗るような、心温まる短編 |
「大村あつしとマイミクになってもいいよ♪」という方は・・・
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