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「篤」が「あつし」に変わるまで(25)

< 第1話 からお読みください >

主要登場人物・団体

●僕・・・この物語の主人公。わたくし、大村あつしのこと。
●品川出版(株)・・・在京の出版社。実在する会社だが仮名。
●秋田・・・ジャーナリスト。実在する人物だが仮名。
●青森・・・東新宿出版の編集長。実在する人物だが仮名。
●東新宿出版・・・新宿にある出版社。実在する会社だが仮名。

Episode 25

- 3,000冊を自腹購入!? -

「心あたり」などあるはずがない。
あったら、誰も好き好んでこんな苦労を背負い込むはずもない。
しかし、ここで3,000冊を売りさばけるルートを見つけなければ今度という今度は、完全にジ・エンドだ。

さて、どこに声をかける?
専門学校か?
パソコンスクールか?
それとも、日本中の書店を回って、本を置かせてもらおうか?

ちなみに、ご存じない方に説明すると、書籍というのは基本的に「委託販売」である。
書店は、通常の商品のように、書籍を仕入れてそれを販売しているわけではない。
書籍自体は無料で仕入れて、それを店頭に並べ、売れたら、その定価から自分たちの取り分を差し引いて委託先にお金を払う。
そして、それが出版社の売上や著者の印税となる。
逆に、売れなければ返本する。

かなり簡略化しているが、書籍とはそのような特殊な商品であり、書店とは、乱暴な言い方をすれば、書籍を消費者に売るというよりも、書籍を置くスペースを卸し(出版社)に棚貸ししている、極めて特殊な店舗である。

当時の無知な僕は、そんな仕組みすら知らずに、書店を一店一店回って、本を売りさばこうとすら考えていた。
本当に無知とは恐ろしい・・・

家路に向かう新幹線の中で、絶望の崖っぷちに立たされながらも、無知な僕は、まだ悪あがきをしていた。

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