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2007年09月30日

祖母の葬儀

本日は、祖母の葬儀に参列して来ました。

94歳で老衰による逝去。

大往生です。

そのため、悲愴さはなく、むしろ、「お迎えが来てくださった」という雰囲気でした。

久しぶりにたくさんの従兄弟にあったのですが、驚いたのは、従兄弟はおろか、従兄弟の子供まで『エブリ リトル シング』を全員読んでくれていたことです。

「なんで知ってるの?」

と聞いたら、

「富士では何度も新聞やニュースで取り上げられてるよ。むしろ、知らない人はいないんじゃない」

と言われ、嬉しいとともに、東京に住んでいると、地方の情報にこんなに疎くなってしまうのかと、ちょっと切ない気持ちになりました。

2007年09月14日

「篤」が「あつし」に変わるまで(44)

< 第1話 からお読みください >

番外編4

- 本と書店と車と涙 -

 木曜日

実は、1週間ほど前にボクは夢を見ました。
M書店は、自動ドアの入り口が開くと、その正面がコンピュータコーナーです。
そして、売れ筋の本は、まさしく入り口の前に平積みされています。

ボクは、「M書店の自動ドアが開いた瞬間、そこに自分の本が積まれている」
そんな夢を見たのです。

妙に生々しい夢でした。が、夢は所詮夢に過ぎなかったのです。

恩をあだで返したM書店は、すでに市内でもっとも嫌いなアウエー書店にランクダウンしていました。

その日ボクは、銀行にお金をおろしに行きます。
M書店は、銀行とボクの家の間にあります。

「あ、そうだ。ほにゃらら社のあの雑誌はもう発売されたかな?」

帰りがてら、M書店に足を運ぶことにしました。
(おいおい、もうM書店で本を買うのはやめたんじゃないの?)

いつものように駐車場に車を止めて、自動ドアの前に立ちます。

サーッと目の前の空間が開けたその瞬間・・・


夢?


いや夢じゃありません。


ボクの本が、5冊平積みされています。

夢で見た光景が、寸分の狂いなく目の前に再現されています。


Ecexlで作るVBAアプリケーション―VBAで作る販売管理システム


と、同時に、さまざまなことが一瞬にして脳裏をよぎりました。


ソフト開発から足を洗いたくて、英語の通訳で食いつないでいた時期。


そんなボクに「ソフト開発の経験でも生かして本でも書いたら。力になるよ。」と、夢のような話を持ちかけてくれた某出版社の社長の顔。


そのことばを間に受けて本を書いた後、それが単なる気分屋の「嘘」であったことに気付いて愕然とした瞬間。


書き上げた原稿を手に茫然自失の日々。


気を取り直して、自らあちこちの出版社にあたっても、企画書すら見てもらえなかった日々。


そして、最後の最後でボクの本に可能性を見出してくれたエーアイ出版の編集長のことば。

「Excelで販売管理!奇抜だけどこれは可能性ありますよ!」

3週間もの度重なる編集会議の末、ついに出版が決定したことを知らせる電話を受けたあの日。


すぐに書店を飛び出して、自分の車に乗り込みます。

嗚咽も涙も、もう自分の意思では押さえ込めません。

生まれて初めて「嬉し泣き」という感情の波に襲われました。

自分が普段本を選んでいたまさしくその場所に、数ヶ月前までごみくず同然だった原稿が本に姿を変えて積まれている。


「あきらめなくてよかった」


あの日あの瞬間は、永遠にボクの胸に刻まれ続けることでしょう。

ちなみに、ボクのデビュー作はその後増刷を重ね、その場所は半年以上その本のための特等席でした。

そして、その成功のおかげで今のボクがあるのです。


本を書く。
その本が全国の書店に並ぶ。
確かに、今のボクにはもうそれが「日常」です。
特別な感慨はありません。

しかし、それでも惰性ではなく、1冊1冊の執筆に全力投球できる情熱を与えてくれているのは、あの日あの時、車の中で流した涙なのかも知れません。

<<完>>

2007年09月12日

「篤」が「あつし」に変わるまで(43)

< 第1話 からお読みください >

番外編3

- 本と書店と車と涙 -

 水曜日

それにしても腑に落ちません。
T書店はもういいとしましょう。
所詮、ボクにとってはアウェーです。

しかし、ボクのホームグラウンドであるM書店はどうしてしまったのか!
一体、今までにボクが何冊の本を買って稼がせてやったと思っているのか!
この本棚だって、俺の金で買ったんだろう!(←完全に壊れています、ボク)
どうしてもあきらめがつきません。

そこで、水曜日の夕方に「ひょっとしたら」と思い、足を運んでみました。
まずは、お約束の平積みコーナーです。
ありません。

「フッ。ここもやっぱり本棚扱いか」

しかし、本棚にもありません。

このような書店には、無期懲役、または一億円以下の罰金ぐらい科してもらいたいものです(笑)

この時点で、ボクは完全にあきらめました。

「ふん。これからの俺のホームグラウンドはT書店さ」

⇒ 第44話へ

2007年09月08日

サイン会が無事に終了しました

9月8日。
名古屋の星野書店でのサイン会が無事に終了しました。

多くの方と触れ合うことができて、本当にボクは幸せ者だと思います。

1つ驚いたのは・・・

これまでに何度もExcel VBA(Excelのマクロ言語)の講演などを行ってきましたが(多い時には400名ほど集まります)、聴衆の大半は男性でした。

しかし、今回の『エブリ リトル シング』のサイン会。

なんと、男性は一人のみ。

あとは全員、女性でした。

整理券に書かれた名前を見ながら、まずはその方の名前を書いて、その下に自分のサインを入れるのですが、整理券の漢字を見ているうちに、段々と、目がおかしくなってきました。

要するに、漢字を漢字と認識できないのです。

この現象は「ゲシュタルト崩壊」と呼ばれるもので、「全体性の喪失」、すなわち、漢字全体ではなく、漢字の部分部分に意識が集中する結果、漢字そのものが、

「あれ、この漢字、こんな字だっけ?」

となるわけです。

ゲシュタルト崩壊には見舞われましたが(笑)、サイン会は無事に終了いたしました。

ご来場くださったみなさま、本当にありがとうございます!

2007年09月06日

「篤」が「あつし」に変わるまで(42)

< 第1話 からお読みください >

番外編2

- 本と書店と車と涙 -

 火曜日 

それでもあきらめきれずに、再びオープンと同時に2つの書店に足を運びます。
やはり、どちらにもありません。

しかし!
T書店では、丁度カートに本を山積みにして、本棚に振り分けている最中でした。

しかも!
その山積みの本の中には、明らかにコンピュータ関連書と思われるものが見え隠れしています。

「よし、午後もう一度書店巡りをしてみよう」

午後2時頃でしょうか。
仕事が一段落した僕の足は、まずT書店に向かいます。
僕は、とりあえず平積みコーナーを一瞥しましたが、午前中と変わったところはありません。

半ばあきらめ気分でしたが、

「ひ、ひ、平積みがなんぼのもんじゃい!ほ、ほ、本物のツウは本棚から本を探すもんじゃい!」

と気を取りなおして(厳密には「やけくそ」)、本棚のExcelコーナーに向かうと・・・

ありました!

黄色い背表紙に青い文字でしっかりと書かれています。

『Excel95で作るVBAアプリケーション(VBAで作る販売管理システム)』

Ecexlで作るVBAアプリケーション―VBAで作る販売管理システム

たった2冊ですが、しっかりと売られています。

「大村あつし」の名もくっきりと刻まれています。

鳥肌が立ちました。

と同時に、周りの視線が妙に気になり始めました。

「ねぇー。あの人自分の本の前で立ち尽くしてるよ~。なんか、チョーみじめったらしい~みたいな~って感じ~」

ルーズソックス(古い!)の女子高生の声が聞こえて来そうです。

「ん? 待てよ? 誰も俺が『大村あつし』だなんてわかるはずないよな。何を焦ってるんだ、俺は。よし、決めた。しばらくここで、この感動にもう少し浸ろう」

1時間ほどの間に、5人もの人がその手に僕の本を取ります。
そして僕は手に汗を握ります。

「買え! 買ってくれ! 買ってくれたら代金は俺が支払おう!」

まじめな話、それくらい真剣に念を送り続けました。

ところがどっこい、パラパラと中は読むのですが、みんな本棚に返してしまいます。
しかも、元あった場所に返さないため、2冊がバラバラに離れてしまいます。
そのたびに、僕は本をきちんと並べ替えます。
はたから見たらただのバカです。

そして、5人目の人が本棚に返したときには、本気で切れそうになりました。

「なぜ? 僕の本のどこが気に入らなかったんですか?それとも、はなっから買う気はなかったんですか? だったら紛らわしいことしないでください!」

著者の横でこのような紛らわしい行為をする人には、懲役1年、または100万円以下の罰金ぐらい科してもらいたいものです(笑)

⇒ 第43話へ

2007年09月04日

「篤」が「あつし」に変わるまで(41)

< 第1話 からお読みください >

番外編1

- 本と書店と車と涙 -

これは、「篤」を「あつし」に変えた後。
デビュー作、『Excel95で作るVBAアプリケーション(VBAで作る販売管理システム)』が発売された直後の、笑いあり涙ありの4日間のドタバタ劇。
「篤があつしに変わるまで」の後日談です。

「お前、金持ちだね~。自費出版ってお金かかるんでしょう」

当時は、友人・知人に会うたびにこう尋ねられました。
しかし、どこの世界に自腹きってまでアプリの解説書を書く人がいるでしょう。
ただ、裏を返せば、自分の知り合いが本を出すということは、彼らにとっては、それほど衝撃的な出来事だったのかも知れません。

ちなみに、「篤があつしに変わるまで」で描いたとおり、もちろん自費出版ではありません。
出版社と印税契約を交わした上で書籍コードを取得して発売された本です。
でなければ、全国の書店に並ぼうはずがありません。

 月曜日

この日は、デビュー作が書店に並ぶはずの日です。
僕の住んでいた静岡県富士市には、大抵のコンピュータ書籍なら手に入る大きな書店が2つあります。

1つはT書店。
こちらは、僕の家からは若干離れているため、あまり利用することはありません。

そして、もう1つはM書店。
こちらは、もう僕のホームグラウンドとでも言うべき書店です。
基本的に、本はすべてこのM書店で購入します。

僕は、オープンの時間に合わせて、さっそく2つの書店に偵察に行きます。
まず、平積みのコーナーを念入りに探します。

「新作だから、きっと目立つように平積みされているに違いない」

しかし、どこにも僕の本は見当たりません。

「まぁ、操作解説書のような売れ筋の本じゃないから平積みはないかな」

半ば自嘲しながら、今度は本棚を隅から隅まで丁寧に探します。
しかし、どこにも見当たりません。

「うかつだった。全国発売だからと言って、富士市で発売されるとは限らないんだ。静岡市とか浜松市のような大都市じゃなければ発売されないかも知れない」

落胆しながら帰途につきます。

⇒ 第42話へ

2007年09月03日

「篤」が「あつし」に変わるまで(40)

< 第1話 からお読みください >

主要登場人物・団体

●僕・・・この物語の主人公。わたくし、大村あつしのこと。
●エーアイ出版・・・僕がデビューを果たした出版社。もちろん実在する。

Episode 40

- エピローグ -

それに、世の中には失敗しない方法が2つだけある。

1つは、「何もしない」こと。
そんな人生を歩みたければ、それはその人の勝手。

そして、もう1つは、「成功するまでやめない」こと。

人間、常に、「今が一番若い」のだ。
残りの人生の中で、今より若いときは二度と訪れない。
その若さを武器に、今後も幾多の不運を乗り越え、成功するまでやめない積極性を見失わないようにしたいと考えている。

どちらかというとネガティブかつ控えめだった「篤」が、ポジティブかつ行動的な「あつし」に変わるまでのお話。

今日も「あつし」は頑張っている。
それも当然。
今の「あつし」が、人生の中で一番若く、活力に満ちているのだから。

「え?もし、今日頑張れなかったら?」
 
- そのときはあした頑張ればいいさ -

⇒ 第41話へ