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「篤」が「あつし」に変わるまで(42)

< 第1話 からお読みください >

番外編2

- 本と書店と車と涙 -

 火曜日 

それでもあきらめきれずに、再びオープンと同時に2つの書店に足を運びます。
やはり、どちらにもありません。

しかし!
T書店では、丁度カートに本を山積みにして、本棚に振り分けている最中でした。

しかも!
その山積みの本の中には、明らかにコンピュータ関連書と思われるものが見え隠れしています。

「よし、午後もう一度書店巡りをしてみよう」

午後2時頃でしょうか。
仕事が一段落した僕の足は、まずT書店に向かいます。
僕は、とりあえず平積みコーナーを一瞥しましたが、午前中と変わったところはありません。

半ばあきらめ気分でしたが、

「ひ、ひ、平積みがなんぼのもんじゃい!ほ、ほ、本物のツウは本棚から本を探すもんじゃい!」

と気を取りなおして(厳密には「やけくそ」)、本棚のExcelコーナーに向かうと・・・

ありました!

黄色い背表紙に青い文字でしっかりと書かれています。

『Excel95で作るVBAアプリケーション(VBAで作る販売管理システム)』

Ecexlで作るVBAアプリケーション―VBAで作る販売管理システム

たった2冊ですが、しっかりと売られています。

「大村あつし」の名もくっきりと刻まれています。

鳥肌が立ちました。

と同時に、周りの視線が妙に気になり始めました。

「ねぇー。あの人自分の本の前で立ち尽くしてるよ~。なんか、チョーみじめったらしい~みたいな~って感じ~」

ルーズソックス(古い!)の女子高生の声が聞こえて来そうです。

「ん? 待てよ? 誰も俺が『大村あつし』だなんてわかるはずないよな。何を焦ってるんだ、俺は。よし、決めた。しばらくここで、この感動にもう少し浸ろう」

1時間ほどの間に、5人もの人がその手に僕の本を取ります。
そして僕は手に汗を握ります。

「買え! 買ってくれ! 買ってくれたら代金は俺が支払おう!」

まじめな話、それくらい真剣に念を送り続けました。

ところがどっこい、パラパラと中は読むのですが、みんな本棚に返してしまいます。
しかも、元あった場所に返さないため、2冊がバラバラに離れてしまいます。
そのたびに、僕は本をきちんと並べ替えます。
はたから見たらただのバカです。

そして、5人目の人が本棚に返したときには、本気で切れそうになりました。

「なぜ? 僕の本のどこが気に入らなかったんですか?それとも、はなっから買う気はなかったんですか? だったら紛らわしいことしないでください!」

著者の横でこのような紛らわしい行為をする人には、懲役1年、または100万円以下の罰金ぐらい科してもらいたいものです(笑)

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