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井上和香さんとの3メートル(4)

ぜひ、(1)からお読みくださいm(_ _)m

⇒ http://fushicho.com/blog/2008/07/post_504.html

また、あらかじめ、毎日新聞の和香さんとボクの対談をお読みくださいm(_ _)m

⇒ 大村あつし:「エブリ リトル シング」舞台化 井上和香さん主演に「夢見心地」

そして、下の写真を覚えておいてくださいm(_ _)m
2004年12月27日の撮影です。


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「みなさま、こんばんは! 井上和香です」

これまでに、何百回聞いた声だろう。
昨日の夜も聞いたばかりだ。

いつもブラウン管の向こうにいた井上和香が、今、まさしく、あの壇上にいる。
昨晩、M-1グランプリで見たばかりの井上和香が、今、同じ空間にいる。

ボクは、困惑と緊張と興奮の3色の絵の具を塗りたくったような表情で、壇上に向かって歩を進めた。

「みなさん、昨晩はM-1グランプリ、ご覧になりましたか?」

すると、「見たよー!」とか「和香ちゃーん」の大合唱。
ボクも心の中で、「もちろん見たよ」と呟きながら、ついに井上和香を視認できる位置にまで近付いた。

マジかよ・・・
本物だよ・・・

慌ててデジカメを取り出すボク。
しかし、距離が微妙に遠い。
彼女は5~6メートル先にいる。

そこで、人波をかきわけてさらに距離を縮めようと試みたが、あと3メートルの地点で行き止まりとなった。

前にいる人たちはテコでも動かない。

それでも、井上和香にあと3メートルまで近づけたのだ。

ボクは、こんな幸運はないと、デジカメのシャッターを切り続けた。

「よし。今夜は、この写真を友達に送って自慢しよう!
なんたって、生(なま)井上和香だもんな」

その後、ボクは誰とも名刺交換をしていない。
和香さんが会場に到着したのはパーティーの終了間際。
そして、彼女が帰るのを見届けるかのように、寄稿家交流会もお開きとなった。

こうして、2004年、最後の「名刺集め」は、思わぬ形で幕を閉じた。

さて、では、ボクは、その時撮った写真を友達に送ったのか?

答えはノーである。

写真をパソコンに取り込んで見た時に、大きな虚無感に襲われたためだ。

3メートル先で、文字どおりスポットライトを浴びていた井上和香。
(これは、写真をご覧ください)

そんな彼女を夢中になってカメラに収めていたボク。

たったの3メートル。
されど3メートル。

当時は、原稿の売り込みどころか、売り込むために名刺集めをしていた、「作家」というポジションから見たら、もう底辺の底辺であがいていたボクは、その3メートルの溝を前に、ただただ暗澹たる気持ちに抗うしか術はなかった。

つづく

さて、みなさま、いよいよ、舞台『エブリ リトル シング』、明後日の11日に開幕です(*^^*)

◆舞台『エブリ リトル シング』、公式ページ
⇒ http://www.nelke.co.jp/stage/elt/