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井上和香さんとの3メートル(最終回)

ぜひ、(1)からお読みくださいm(_ _)m

⇒ http://fushicho.com/blog/2008/07/post_504.html

また、あらかじめ、毎日新聞の和香さんとボクの対談をお読みくださいm(_ _)m

⇒ 大村あつし:「エブリ リトル シング」舞台化 井上和香さん主演に「夢見心地」

そして、下の写真を覚えておいてくださいm(_ _)m
2004年12月27日の撮影です。


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さて、年も明けて2005年。

いよいよ、前の年に集めた名刺を頼りに本格的な原稿の売り込みを開始したわけですが、「1年もあれば、どこかが出版してくれるだろう」という楽観的な期待は裏切られ、実際に『エブリ リトル シング』が出版されたのは、2007年の5月。

当初決めていた、「売り込み期間は3年」というそのタイムリミットの2007年6月まで、あと2ヶ月弱という時期でした。

この2005、2006年については、多くを語るつもりはありません。

ただ、2006年8月3日のブログを紐解くと、ボクはこんな事を書いています。

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4月からいろいろと頑張っているのですが、すでに4ヶ月が経過するのに、なかなか事態が進展しません。

今のボクは、さながら灼熱のアスファルトに投げ出されたミミズですね。
心の栄養がどんどん蒸発して、干からびていくのがわかります。

<中略>

何十回、これを繰り返せばいいのか・・・

そろそろ恵みの雨が欲しいです。

でなければ・・・

本当に干からびてしまう・・・
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「10億やるから、あの2年をもう一度過ごせ」と言われても、迷うことなく拒否します。

さて、この連載を通じてボクが訴えたかったことは・・・

「人生に無駄な経験はない」ということです。

2004年の2月に創業会社を失った末のうつ病との闘い。
苦しかったです。
でも、この苦しさがあったから、より苦しい2005年、2006年を乗り切れたともいえます。

また、ボクは、「願えば叶う」とか「想いは具現化する」とか「すべては必然」なんていうつもりはありません。
実際、ボクは、和香さんに主演を演じていただく事をイメージしながら売り込みをしていたわけではありません。
また、ボクの作品が舞台化され、その主演が和香さんになったのは、正直、「偶然」だと思っています。

しかし、「小説で生活ができる」、そんな夢のようなことが現実になる。
これは「信念」として持っていました。
たとえ「執着」や「願望」は叶わなくても、「信念」は叶います。
少なくとも、ボクはそう信じています。

また、「人生に無駄な経験はない」に戻りますが、デビュー作が出るまでに、それはそれは、何度も改稿を繰り返しました。
『エブリ リトル シング』の出版OKをいただいた原稿は、第20稿くらいだと思います。
ちなみに、最初のタイトルは『かけらを見つけた夏休み』でしたが、編集長に却下されました。

でも、売り込みで落されてくさって終わるか、どうしたら出版してもらえるのか。
結局はこの二者択一なわけですが、ボクは、来る日も来る日も、後者のことを考え続け、そして、そのときの気持ちや学びを小説に取り入れながら改稿を繰り返していきました。

そんなある日です。
井上和香さんとの3メートルのことが頭をよぎりました。

たったの3メートル。
されど3メートル。

このテーマを、小説に取り入れることはできないだろうか?

そうして生まれたのが、バーのカウンター越しに恋をする、「彼女はいつもハーティーに」です。
主人公たちは、1メートル先の人にお互いに恋をしているのですが、その距離がなかなか縮まらないもどかしさ。
自分でも、よく描けていると感じています。
なぜなら、3メートル先の井上和香さんを見たときの気持ちを、その作品にぶつけているからです。

おかげさまで、以前、読者投票をしたときに、「彼女はいつもハーティーに」は、「クワガタと少年」を押さえて、『エブリ リトル シング』の中で一番の人気作に選ばれました。

やっぱり・・・
人生に無駄な経験はないんだと思います。
壇上の和香さんの写真を見たときに抱いた透明無色の虚無感が、小説の中では生き生きと鮮やかな彩りを添えているのですから。

また、ボクは、和香さんとの3メートルを、この4年間で0メートルにできたとも思っていません。
彼女は今でも大スターですし、ボクは、まだまだ駆け出しの物書きです。

でも、4年後に、ボクはどのような気持ちでこのブログを読み返しているでしょうか。

実は、「ある自分」がイメージできているのですが、それをここで記すのはやめておきます。

ただ、信念さえ持って日々を頑張っていれば、4年後には「ある自分」になっていることと思います。

そして、いよいよ明日、舞台、『エブリ リトル シング』の幕が開きます。

同時に明日は、これからの4年間の幕が開く日でもあるのです。

     <了>

◆舞台『エブリ リトル シング』、公式ページ
⇒ http://www.nelke.co.jp/stage/elt/